コーチングでは目標設定をする。その目標に向けて行動を起こしていく。コーチングに対して、こういうイメージを持たれている方は多いと思いますし、実際その通りです。

でもどうでしょう?言葉だけで理解しようとすると、ここから浮かんでくるのは数字的ノルマ的な目標ではないでしょうか。

ここからコーチングに対するいろんな誤解が生じているように思います。

もちろん、数字的な目標も大切です。でも、コーチングで扱うのは、これだけではありません。むしろここは最後の微調整ぐらいでいいのかもしれません。

本当に大切なのは、個人の価値観からくるオリジナルな存在意義であり、それにつながっていくオリジナルな目標でしょう。

でも、それを言葉にするのは簡単ではありません。なぜなら、それはその人にとって、本当に大切にしていることで、他者に理解してもらえるうように説明することなど到底不可能だと思えるような微妙でデリケートなものを含んでいるからです。

それはまるで、つかもうとすると、するりと手から逃げていく煙のようなものです。

こんなことを聞くと、とても遠回りで果てしない道のりのように感じてしまうかもしれませんが、これが入っていない目標など何の意味があるでしょうか。そんな目標は、目先の行動に気を紛らわせて時間つぶしをして本当の課題から目を背けさせるだけのものかもしれません。

だとしたら一体どんな目標を立てればいいのでしょう?

このような目標と聞くと、とてつもなく高尚で特別なものすごい目標を立てなければならないような気がして途方に暮れてしまうかもしれません。そうなると、いよいよ現実的にならなければという理性の声が聞こえてきて、あきらめモードになっていくでしょう。

これは、言葉だけでなんとかしようとしている時に落ち込んでしまう落とし穴です。

言葉だけ聞いていると大層ですが、実際にやることは、今の自分の興味に正直になることだと思います。どんなに素晴らしい偉業もそこからしか始まらないことを思い出してみてください。

まずはある程度そのことに取り組んでいく中で、今の自分が望んでいることが少しずつクリアになってくるでしょう。でも、急いではいけません。コーチングでは、より早く成果を出すなどといううたい文句がありますが、それは結果的に起こることであり、それを狙って出そうとすると逆効果です。

今の自分の興味に正直になり、それに集中すること。そこから見えてくることが次の方向を教えてくれるでしょう。

目標は今に集中することに役立つものでなければ意味がなく、それはすなわち行動を起こすということです。

行動が起こらないなら目標が間違っているのです。実際、自分を邪魔するのは、自分が立ててしまった目標だったということがよくあります。

自分を責めなければならないような目標は捨ててしまうことですね。自分を責めている間は行動を起こさなくてもよくなるからです。

本当に欲しい目標なら、動いていく中で、また向こうからやってくるでしょうから。