私の中で、繰り返し観る映画に、「ロードオブザリング」があるんですが、あれを観るたびに話のつくりがうまく出来てるなあと感心します。
特に何がかというと、スメアゴルという存在の設定なんですが、悪の指輪を破壊する旅に出た主人公フロドを邪魔する目障りなやつ。
でも、何故か生かされている。
途中魔法使いのガンダルフが、スメアゴルを何故殺さなかったのかと言うフロドに対して、「他者にかけた慈悲が自分を助ける」という示唆的な深いセリフを言います。
そして実際、最後の最後、やっとの思いで破壊できるところまでこぎつけたフロドが指輪に魅入られて破壊せず自分のものにしようとする。
そこへスメアゴルが現れ指輪をはめたフロドの指ごと噛みちぎって、揉み合っているうちに指輪を溶かす火口に落ちていく。
人間は弱い。強い意志で断ち切ろうと思っていたことも、手離せなくなる。
そんな時に現れるスメアゴル的存在はありがたい存在なのかもしれない。
単に指輪だけ取られるのではなく、指ごと噛みちぎられるというシチュエーションも、それほど執着を断ち切るのは難しいということなのか…
そして、スメアゴルが指輪と共に火口に落ちていく様は、それはそれで何かを象徴しているようだ。
自分も溶けていくのに、やっと手に入れた指輪をうっとりと見ている。
火中に放り込まれながら、自分に何が起こっているのか全くわからない状態で指輪に魅入られたまま、自分を取り戻すことなく。
どちらを選ぶのかは自分次第というところでしょうか。
一歩間違えばどちらも自分に起こりうる、紙一重の危うい瞬間。
旅が困難で長ければ長いほど、その一瞬のコントラストが鮮やかだなあと思います。
深いなあ、トールキン!
人間というものをここまで表現してるの凄いなあと思うんですね。
個人的にはケイトブランシェット演じる森の奥方ガラドリエルが好き。
一番スカッとするシーンは、アングマールの魔王をローハンの盾持つ乙女と呼ばれるエオウィンが一撃で倒すところ。
その場面みたさにまた最初から観たりする笑
そして、やはり指輪は権力の象徴なんだなあ。
指輪好きな私は、やはり支配欲求があるのか 笑
最近のお気に入り。